[人間づくり]総合人間教育学の普及と援助

人間づくりコラム

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《『政(まつりごと)の心』を求めて》 第40回 ―「 日本政治の現状(2) 」―
民主政治の崩壊に気づかない政治家たち
わが国が深刻な経済危機状況にあることは、誰でも知っていることだ。それ以上にわが国の民主政治が危機に瀕していることに気がついている人は少ない。とりわけ国民を代表する国会議員に、このことを認識している政治家がごくわずかであることが、わが国の悲劇である。  

それは検察による「政治資金規正法」の運用が、戦前の治安維持法のように運用されるようになったことだ。昨年3月から始まった小沢一郎事務所に関わる政治資金規正法違反容疑による一連の強制捜査のあり方である。歴史的な政権交代が実現するという事態の中で、党派的にかたよった議論が国会で行われているが、これらにはとらわれることなく、議会民主政治の確立ということから、理論的にこの問題を整理しておこう。


政治資金規正法
まず「政治資金規正法」を、ほとんどの政治家がザル法と軽視しているが、とんでもないことである。たしかに資金の会計処理などについては、ザル法といわれても仕方ない部分が多くある。しかし法律の基本構造において、きわめて問題の箇所がある。この法律は新憲法で国会が始まったばかりの昭和23年に衆院の議員立法でつくられたものである。  

そのためルーズなザル法と言われてきた。ところが実態は、旧内務省の官僚たちが衆院法制局に入りこんでいて、とんでもない仕掛けをしていた。俗にいう「白地刑法」である。例えば収支報告の「虚偽記載」について、罰則を書いているが、どういう状況が違反となるという「構成要件」を規定していないのだ。  

さらに「収支報告書等」に不備や不十分な記載がある場合には、総理大臣などが訂正命令を出すことができることになっている。この総務省の監督指導と、検察や警察の捜査や公訴権の関係をまったく規定していないことが、この法律の落し穴で恐ろしいところである。これまでのほとんどは、「虚偽記載」についてこの総務省の指導で訂正されていた。指導に応じない場合や裏ガネが実証される場合に検察などが捜査に入っていた。


歴史の変る時期、旧体制が過去の権威と既得権を死守するため暴走する
小沢幹事長の陸山会問題で石川議員を強制逮捕した事件は、逮捕の理由と時期などから考えると小沢幹事長の政治的失脚を狙ったもので、議会民主政治を崩壊させようとするものであった。偽証で知られている水谷建設元会長の証書を前提に1億円の裏金が、小沢側に渡されたということで、通常国会召集日の直前に、しかも、民主党大会の前夜国会議員を逮捕したのだ。しかも、構成要件のない収支報告の虚偽記載という形式犯である。  

この検察の行為は、政治資金規正法を思想犯か公安事件という発想で運用したもので、戦前の特高警察のやった治安維持法の運用と同じやり方である。構成要件のない白地刑法で別件逮捕し、強迫的に尋問して自白させて起訴しようというやり方である。このやり方を放置しておけば、検察と同じ旧体制の巨大マスメディアのPR力を使って、世論は政治家に批判の津波を起す事は、日常的なことになる。

これで果して健全な議会民主政治が存在しうるのであろうか。総選挙で大敗し溶解直前の自民党が、政略のため自分のことを棚に上げ狂ったように小沢叩きをすることは別にしよう。問題は戦前戦後、検察警察権力の弾圧に苦しめられた日本共産党が、検察と同じ論理で、検察の味方をして小沢叩きをやっていることだ。かつて自民党の活動資金をCIA資金から出されていた事実、日本共産党がソ連共産党からの資金で活動していたのは数十年前のことで、国民の記憶に残っている。

民主党中心の政権交代は、日本で初めて民衆が政治権力をつくった「無血革命」であった。民主党の国会議員も支援者も、歴史の変る時期、旧体制が過去の権威と既得権を死守するため暴走することを知ることが必要だ。