[人間づくり]総合人間教育学の普及と援助

人間づくりコラム

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《『政(まつりごと)の心』を求めて》 第39回 ―「 日本政治の現状(1) 」―
昨年暮から坂本龍馬の変身の原因を「北辰一刀流の妙見法力」にあることを論じてきた。妙見信仰の考え方「国土の安泰と民衆の福寿」が、日本の歴史の節目で変えてきたという話をしてきた。3月も近づき政局も緊迫したので、しばらくは「日本政治の現状」というテーマで、政治解説をやることにしよう。


「所有」と「存在」と「共生」
土佐生れの「おっちょこちょい」で、おだてられるとすぐ乗る私が、サンケイ新聞の作戦に引っかかり、『短刀直言』で日頃言いたかったことを話したところ、多くの人々からいろんなご意見をいただいた(2月19日付)。見出しが「反小沢を煽る渡部さん」と刺激の強いものとなったので、渡部さんから多分反論があると思う。それを待つことにする。

私が最も言いたいことは、政治家をはじめ官僚も、経営者、学者、マスコミ有識者らの多くが、現代の世界や日本の状況について、正確な歴史認識に欠けているということだ。重化学工業社会時代から情報社会時代に文明が移行するという産業革命が行われたという歴史認識を持っていないことである。

重化学工業社会では、人間の価値観は「所有欲求」と「存在欲」でよかった。しかし神経を皮フの外に出したような情報社会で、所有と存在の欲望を排他的に続けていくと、地球や人類はどうなるか。その害毒は人間なら知っているはずだ。そこで私がかねてから主張しているのは、古来から人間の本能として持っていたが近代になって潜在化した「共生欲求」を呼び覚まし、「所有」と「存在」と「共生」という三位一体の新しい価値観を共有すべきだということである。

私は20世紀末の平成初年からこれを論じてきたが、今日に至っても世の中ではほとんど理解されていない。経済の根本である資本主義が変質したこと、いや資本主義というシステムが崩壊したともいえる現代をどう考えるかという問題でもある。現代のあらゆる混乱の原因は、こういう歴史の移行や変化に気がつかないまま、従来の価値観で馴れた既得権で生きようとするからである。


政治は変るものであり、歴史は刻まれるもの
政治の世界の混迷をみればわかる。昨年8月30日の衆院総選挙で、自民党が大敗した根本原因は、歴史の変化に気がつかないどころか、昭和40年代の高度経済成長の発想で危機を解決できると思っていたことにある。民主党の圧勝が歴史観を適切に持っていたことによるとは言えない。政治運営と政策が立派だったからだとも言えない。

それは民主党という政治集団が、他の政党と比べてファジーで矛盾だらけであったことに、国民は新しい政治が始まると錯覚したことが原因だと思う。歴史は論理で動くものではない。人間の集合的無意識が動かすものだ。民主党308議席という圧勝は、有権者の創造的錯覚と共に、西松事件で小沢一郎民主党代表の秘書を特高警察的に逮捕したことによる民衆の不安がもたらしたものである。

それでも政治は変るものであり、歴史は刻まれるものだ。神武天皇以来、初めて民衆がつくった国家権力だ。問題は国家権力をつくる過程では、いろんな人間がいろんなことを論じてもよいが、一旦新しい国家権力がつくられたなら、その権力の歴史的性格と使命を正確に理解することがきわめて重要である。

私がサンケイ新聞の紙上の冒頭で、8月30日の無血革命性を、民主党所属のほとんどの国会議員が理解していないと批判したのはこのことである。

歴史の変わり目には、旧体制を支えていた秩序機関は古今東西、暴走して既得権と権威を失うまいとする。一連の小沢一郎を政界から失脚させようとする動きは、このことである。民主党内に親小沢と反小沢がいることなどはどうでもよいことだ。ただ革命政権である鳩山政権が壊れることになると、政治は旧体制の自民党に戻る。検察も巨大メディアもそれを狙っているのだ。