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9月にニューヨークのウォール街から全米に広まった反格差社会デモで、人々は「人間には企業の拝金主義は不要」というプラカードを掲げ、利益至上主義を批判。若い人を中心とした不満が、さらに主要労働組合や庶民に広がり、ニューヨーク有権者の約7割、米国民の3割が賛同しているという。
アメリカの一部の富裕層は、富のほとんどを独占している。マイクロソフト創始者ビル・ゲイツの2011年総資産は590億ドル(約4兆5千億円)で18年連続で首位。
この資産額は、今年4月政府が第一次補正予算案で打ち出した復興費とほぼ同じだ。
では貧困層の収入はというと、4人家族の年収が約167万円以下と定義されており、今年は過去最高の4600万人にのぼり、6~7人に1人の割合とされている。想像もつかない格差だ。
この抗議行動は、インターネットで世界に呼びかけられ、10月中旬には80カ国951都市で行われ、さらに広がりをみせている。
プラブハット・ランジャン・サーカーは、インド人の哲学者、思想家、社会改革者であり、階級循環論を唱えた人だ。人間社会は「労働者の時代から始まり、武人、知識人、富裕者の時代へと発展し、再び労働者の時代へと循環する」というものだ。
この視点を独自に日本に当てはめて、江戸時代から現代を表したものが左の年表だ。世界は今、欧米型の資本主義が中心となって、貧富の二極化を世界的に招くという、まさに富裕者の時代である。
こういった二極化現象に共通しているのは、貧困層(庶民)が富裕層の犠牲になっているということだ。その不満が爆発した時、社会変革が起きるということだ。
日本の場合は、明治維新に至るまでの時代の大転換をさすだろう。明治維新を導いた坂本龍馬や西郷隆盛などはもちろんだが、新撰組などの幕府方にしても、それぞれが国を思い国を憂い行動を起こした。彼らこそまさに、社会革命の戦士と言える。彼らは国のトップにいた人達ではなく、どちらかというと庶民寄りの人達だった。
明治維新ならぬ平成維新も、庶民の手によって起こされるということになるだろう。
高度成長期の日本は、よく「猿まね」と諸外国から言われた。本当に猿まねだったかというと実は違っていた。日本は技術が世界に比べて群を抜いて高かったため、他国の技術を受け入れた上で、より良いものを作った。だから「猿まね」と妬まれた。
日本は日本独自の感性と天性の物づくりを生かして、世界に躍り出た。もちろん戦後は戦勝国に助けられもしたが、世界が冷戦で二分され、負けた日本に目もくれなかった時期に、日本はお家芸で頑張った。
この頃の日本は、世界の流れにくっついていったのではない。ある意味、内向きに日本復興を、日本人が一つになって作り上げていたのだ。
今の日本のように、世界の流れに後ろから真似てくっついて行くようなことはしてなかった。そうでなければ日本の復興はなかったのだ。
日本が世界を「猿まね」するようになったのはいつからか? それを断定するのは難しいが、少なくとも最近は、何かにつけ諸外国からの僅かな圧力で「はい」という、従順な傾向が指摘されている。
しかし、そろそろ日本人も目覚め始めている。実際に行った猿まねでは立ちゆかなくなった経営を、元に戻すのは至難の技であるが、日本回帰への動きは始まっている。例えば…
来年1月から、06年に廃止した定年制を復活させ、同時に65歳までの再雇用制度を導入することになった。
理由は「若手社員を伸ばしていく企業文化を根づかせていくため、年功序列を廃止するなど、実力主義への意識を高めようとした」思惑が外れたためだ。
定年制の廃止は、ベテラン社員の経営やノウハウ、スキルが生かされるメリットがあるとされているが、マクドナルドの場合、ベテランが自分の成績を上げることを優先し、若手の育成が疎かになってしまった。定年制の復活で「人を育てる企業文化を再度築き上げる」ことが狙いという。
今や世界の9割以上が、中国で生産されているという現実がある。しかし、中国の人件費もだんだん上がっている所から、インドなどに工場が移りつつある。
そんな中でも、海外に工場を移さずに国産で採算を合わせながら頑張っている製造業がある。
ノートPCを生産するラインが百人の中国に対して、島根では15人。しかも生産性は向上し、採算は合っているという。
それは徹底した作業現場の見直しと、日本人の技術力の高さで実現した。5年前の3分の1の生産ラインは約35メートル。作業員は24名から15名へ。これを「出雲モデル」と呼ぶそうだ。
メイドインジャパンは、メイドイン出雲へ。地域ブランドはこれからのキーワードになると言って良いだろう。
8月に発売されたVAIO(バイオ)Zは、初の純粋な長野産だ。厚さ16・5㎜の薄型を実現するために、日本国内で総力を結集して製造された。
「日本人の高い勤労意欲があればこそ、製品の魅力は色あせない」との確信から東京都昭島市でデスクトップPCを生産。コストは海外より高くついても、顧客への時間を短縮すれば採算があうという。
キャノンは「一眼レフには高度な生産技術が必要。円高だからといって簡単には移管しない」と長崎・大分で製造している。
ニコンは、上級機以外の生産をタイに移しているが、10月11日タイで発生したアユタヤ県の洪水で工場が浸水し、復旧時期は未定(14日現在)。
日本は既に成熟してしまった社会だ。飢餓に苦しむこともなく、安全な医療も受けられる。食べ物も生活必需品も溢れている。震災以降はエコ意識が高くなったが、水も電気も充分にある。
何もかも便利であることが当たり前になってしまっている。つまり、どんなに頑張っても、これ以上の経済成長は望めない状況ということだ。
さらに、今の生活を見渡してみると、どこかマンネリ化していないだろうか?
例えば食事・・・スーパーやコンビニでたくさん積まれた食べ物や商品。季節感がわからないくらい、日本中どこに行っても同じ物が並べられている。
何となく同じような毎日は繰り返されていき、今日は何の日だったのか? と思うような祝日も多くなった。
例えば「お盆休み」。もともとご先祖を家に迎えて祀り、御先祖のためにお供えしたごちそうを生きている人が頂くという共食の文化であり、今、いただいている命に感謝する日本独自の年中行事だった。つまり、お祭りの一つだったが、今は「お休み」の代名詞になっている。
昔のお祭りはドキドキ、ワクワクしたものだった。最近の何万人も集まる大きなイベントとは違い、お祭りは地域社会でするものがほとんどだった。
祭り囃子の笛や太鼓。夜店の時にしか買えないおもちゃやお菓子。その地域だけの特産や、家に代々伝わるお祭りの時だけの特別な料理。
日本人は季節の節目ともいえる、こんなワクワクした「お祭り」をすっかり捨ててしまって、毎日マンネリで一年を過ごしてしまうつまらない民族になってしまった事に、損をしたとも思ってない。
ちょっと目線を変えてみよう。最近目立ってポピュラーになった「恵方巻き」。
元々年の初めに一年の厄を払うために、縁起の良い方向(=恵方)の神社・仏閣にお参りしたのが始まりだから、今後も、巻き寿司を食べる日にだけはなって欲しくないのだが・・・。
このような儀式的なお祭りをするだけで、「今年も頑張ろう」という気持ちになれるから不思議だ。日本人はこういう節目になる感性を、年中行事や二十四節気(約15日毎)、七十二候(5日毎)などで持っていた。これを育んできたのが
すまない…生命への祈り(祀)
ありがたい…自然への祈り(祭)
もったいない…社会への祈り(政)
という祀祭政だ。ここに、これからの新しい産業の大いなるヒントがある。
グローバル化した世界経済の中で日本独自の祀祭政高付加価値を創造する商品・技術・産業を育成するその真髄は「教養&文化&経済」の三位一体の循環である
日本が生き残るためには、どこまでもメイドインジャパンの匠を、世界に発信することだ。世界は「日本らしさ」を受け入れているのに、わざわざそれを捨てて、どこにでもありそうな安っぽい物を作っている場合ではないのだ。
祀祭政とは、日本人が日本人らしくなれる根源だ。日本の「匠」は世界を席巻できる。日本の文化には1万年の歴史がある。その中身はこれからの産業が甦る宝箱なのだ。